「カポーティー」を見る
村上春樹氏の新作「1Q84」が爆発的に売れているそうですね。実のところ今まで彼の作品を読んだことがありません。もし読むんだったらもっと初期のものから読んみるつもりです。代わりというわけではなくて彼が翻訳した「ティファニーで朝食を」を読みました。その流れで、気になっていた「カポーティー」を借りてきました。
以前「冷血」を読んで驚いて、ビデオの「冷血」を見ましたが、これもなかなか素晴らしいものでした。今回この「カポーティー」には「冷血」を書き上げるまでの彼の6年にわたる取材活動と同性愛者としての私生活や友人の女流作家「アラバマ物語」のハーパー・リーとの交友や勇名を馳せたニューヨークの社交界での様子などが描かれています。しかしあくまでもテーマは1959年にカンザス州ホルカムで起きた一家4人惨殺事件を取材するカポーティーの実像です。死刑囚との交流から彼の深層にある冷血が事件そのものの冷血と引き合って、やがてその深淵に引きずり込まれるように自身が壊れていく様子が描かれています。カポーティーは死刑囚ペリー・スミスとリチャード・ヒコックの延命願いつつ、もう一方では彼らの刑が執行されることによって作品の完結を願うというアンビヴァレンツに引き裂かれてゆきます。この映画のカポーティーは常にセレブである立場を最大限に利用して有利に取材を進めていきます。しかしその一方でいわゆる社会的成功はいったん獲得されれば、特権をもたらすと供に民衆の過度の期待値で成功者をじわじわと追い詰めていくのです。主人公を演じたフィリップ・シーモア・ホフマンはもちろんですが、死刑囚ペリー・スミスを演じたクリフトン・コリンズ・jrも好演です。重たいテーマなので見終えてちょっと辛くなったりしても、ついついまたこの手の映画見てしまいます。
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